本当にあった怖い境界トラブル
川村 祐一
こんにちは。
静岡市葵区の不動産屋、新富不動産スタジオです。
不動産の取引にはついてまわる土地の境界。
「近所と仲がいいから」、「隣は親戚だから」といった理由で境界で揉めることなんてないとお思いの方も多いのでは？
そんな境界のことについて、最近あった実体験を含め書いてみます。
境界とは土地と土地の境目を示すもの。
境界を示すポイントには昔で言う「杭」などの境界標がつけられます。
※「金属プレート」だったり構築物に刻みを入れ塗料で着色した「刻み」であったり、コンクリート杭など様々な境界標があります
不動産の売買をする際には、基本的には境界確定をするために測量を実施することが多いです。
お隣さんとの民地のみの境界を確定させる測量を「民民測量」、市や県や国など道路や公園等の官地との境界も確定させる測量を「官民測量」と呼びます。
境界確定で「官民」はあまりトラブルになることはないのですが、「民民」はとても注意が必要です。
測量によって境界の位置を確定させる証拠として「筆界確認書」というものを立ち会った土地所有者間で結びます。
過去に「民民」の境界をはっきりとさせたことがない場合（相続した先祖代々受け継いできた土地なんかは境界がはっきりしていないものが多いですね）、不動産の売買などで測量を行うことによって初めてお隣さんと境界について話をすることになります。
境界というのは「自分の土地はここまでだ」という権利の主張なので、仮にお隣さんとの仲が良好であったとしても、測量して境界確定をさせようとした際にいきなり態度が豹変することなんかもあったりします。
結果として筆界確認書へハンコを押してくれず境界紛争有の土地の出来上がりとなってしまいます・・・
怖いですよね・・・(*_*;
先日弊社で購入の売買契約を結んだアパートがありました。
このアパートは2方が官地、もう2方が民地でした。
民地の境界が不明瞭であったため、購入条件として民民測量を売主様へお願いし、売買契約を結びました。
契約も完了し弊社側の融資承認も出たため、仲介に入ってくれていた不動産屋を通じて土地家屋調査士にお願いし測量をスタートさせ、いざ隣地の所有者へ境界確認の依頼をしたところ、隣地所有者から「以前測量をしようとした際に、土地家屋調査士が「ここ」と言ったから、今示されているポイントではハンコは押せない」と申し出がありました。
仲介業者から話を聞くと、先方が主張している境界は何と購入予定のアパートの敷地内どころかアパートの建物自体にかかっている箇所。
今回新たに測量して得られたポイントであることから、弊社も売主様もそんなことがあるわけないと反論しても、「以前に土地家屋調査士から示された境界はここだからハンコ押さないよ」の一点張り。
よくよく話を聞いたら、以前売主様の先代が確定測量を行おうとした際にも、その時の土地家屋調査士が隣地所有者が主張しているポイントを境界として示したため、その際にもトラブルになって測量不調で終わったとのことを契約後に聞きました。
買主である弊社としては契約時に聞いていない話であったため、告知義務違反で違約解除もできたのですが、アパート自体は購入したかったので売主様にプライドを捨ててでも隣地が主張するポイントで境界確定させて、減った分を隣地所有者から買い戻してもらえないかと交渉、その方向で話が進み始めました。
しかし最終的には隣地所有者が「今の境界がアパートにかかっている以上、アパートを今すぐ解体しろ」と言い出しました(*_*;
弊社では境界紛争があっても解決できそうなレベルであればアパートを購入しようと考えていました。
しかし時間をかけて色々隣地所有者と協議してもらった結果、解決しようもない境界紛争がある状態ではどのような嫌がらせを受けるかわかったものではなかったので、このアパートの売買契約を解除することになりました。
その他にも、お隣さんとはよく話をする関係でしたが境界のことになった瞬間に自分の境界についての考えを主張、そのポイントでなければ絶対にハンコを押さないとなり泣く泣く売主様に妥協してもらい事なきを得たという紛争寸前の事例なども。
境界の確定をするには測量が必要です。
官民測量を行うには住宅用地であれば安くても60万円前後、民民測量であっても30万円前後はかかります。
一般的には売主様の負担にはなりますが、後々の境界トラブルによって売買時点まで話が遡ってしまい責任追及されるなんてリスクもゼロではありません。
将来のリスクを取り除き買主様に安心して土地を使っていただくためにも、不動産売買時に測量を行っておくことはとても大切なこと。
不動産売買契約書の標準ひな形にも「境界の明示」という条項が盛り込まれており、境界を示したうえで不動産を引き渡すことを前提として契約書も作られています。
境界トラブルはとっても怖いものです！
土地の売却の際には協会のことも気にして信頼できる不動産屋に相談しましょう！
地元静岡市を中心に、静岡県内全域で不動産の売買･賃貸仲介に加え不動産買取や不動産投資など、不動産を通じて様々な問題解決に向けたコンサルティングを行っています。
様々な不動産の購入や売却の仲介や買取にコンサルティング、そして賃貸経営のことなど、不動産に関するご相談はお気軽に弊社までお申し付けください。
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